イビデンのコーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方

 当社グループは、コーポレート・ガバナンスを透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための重要な経営の仕組みとして認識し、グループ全社において積極的に取り組んでおります。当社グループのコーポレート・ガバナンスにおきましては、「コンプライアンス及びリスクマネジメント推進活動」を積極的に展開することで内部統制機能を強化し、取締役会による経営監視機能と監査等委員会による監査機能を充実・強化させてまいります。それにより、株主をはじめとするステークホルダーからの信頼に応える透明な企業統治体制を構築し、企業としての社会的責任を果たすとともに、持続的な成長による企業価値の向上を実現してまいります。  


(ご参考) 当社グループの内部統制システムの模式図


取締役会の役割・責務

 当社においては、法令及び定款に準拠して、取締役会規則を制定し、取締役会自体として何を判断・決定するのか、付議基準を定めて明確化しております。また、その他の意思決定・業務執行については、組織・職制・業務分掌管理規程及び権限規程を制定し、経営陣が執行できる範囲を明確にしております。

各委員会及び経営会議の役割と位置付け

監査等委員会
 当社は監査等委員5名のうち、3名を監査等委員である社外取締役として選任しており、かつ、2名を常勤監査等委員として選任しております。各監査等委員は取締役会など主要な会議に出席し、取締役の職務執行の監査を、更に常勤監査等委員は内部監査部門及び外部会計監査人と連携し、法令及び諸規定に基づく監査を当社及びグループ会社に対して実施しております。なお、常勤監査等委員には当社事業に精通した人材が、監査等委員である社外取締役には財務及び会計もしくは法律に相当程度の知見を有する人材が就任し、上記機能を適切に担保しております。

指名・報酬委員会
 当社においては、取締役及び経営役員等の指名及び報酬の決定に関する手続きの透明性及び客観性を確保することにより、取締役会の経営監視機能の強化を図っています。コーポレート・ガバナンスを更に充実させることを目的として、監査等委員でない社外取締役を委員長とした指名・報酬委員会を取締役会の諮問機関として設置しております。

経営会議
 取締役会付議に向けた代表取締役社長の諮問機関及び権限規程に基づく決裁と経営幹部間の重要な経営情報の共有を目的として、経営企画担当役員を議長に役員、常勤監査等委員、関係する幹部職及び経営企画部長を構成員として毎月開催しています。

リスクマネジメント全社推進委員会
 代表取締役社長を委員長とする「リスクマネジメント全社推進委員会」を設置し、リスクマネジメント活動全体に関わる事項の審議・決定を行うとともに、主要リスクの対策内容や進捗状況の報告などを行っております。当委員会で決定された方針を具体的に進めるため、リスクカテゴリー毎の主管部門を配置し、社内及び国内・海外グループ会社の状況、業務形態に応じた活動を推進しております。

コンプライアンス全社推進委員会
 代表取締役社長を委員長とする「コンプライアンス全社推進委員会」を設置し、当社グループ全体へのコンプライアンス意識の浸透を図っております。当委員会は、毎年1回以上開催され、コンプライアンスの全社推進、統括、活動の報告とレビューを行っております。ここで決まった方針・計画は、各事業場及び国内・海外グループ会社に報告され、それぞれの活動へ展開されます。

取締役会の多様性と各委員会及び会議体の構成員
 取締役会による的確かつ迅速な意思決定が可能な員数及び取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスを考慮し、適材適所の観点より、総合的に検討した上で、指名・報酬委員会の答申を参照しつつ、取締役候補者を指名しております。

※1 上記スコアは、候補者の有する全ての知見を表すものではありません。
※2 社外取締役(監査等委員を含む)候補者につきましては、取締役会に必要なスキルセットの中で特に期待する分野を記載しております。

取締役会

候補者指名のプロセス
 経営陣幹部・監査等委員でない取締役候補については、的確かつ迅速な意思決定が可能な員数及び経営陣幹部・取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスを考慮し、適材適所の観点より総合的に検討し、選任・指名しております。また監査等委員候補につきましては、財務・会計・ガバナンスに関する知見、当社事業に関する知識及び企業経営に関する多様な視点のバランスを確保しながら、適材適所の観点より総合的に検討し、指名しております。前述の方針に基づき、監査等委員候補につきましては、監査等委員会の同意を経て、取締役会で決議しております。なお、取締役候補の指名につきましては、取締役会での決議に先立ち、取締役会の諮問機関として設置している監査等委員でない社外取締役を委員長とする指名・報酬委員会にて審議を行い、その内容を取締役会に答申しております。また、取締役については取締役規則、経営役員については経営役員就業規則において解任基準を定めており、当該基準及び指名・報酬委員会における審議を踏まえ、取締役については株主総会にて、経営役員については取締役会にて決議する手続きを定めております。


取締役会の実効性評価

 当社においては、取締役会全体が実効性を持って機能しているかを検討し、その結果に基づき、問題点の改善や強みの強化等の適切な措置を講じていく継続的なプロセスにより、取締役会全体の機能向上を図ることを目的とし、取締役会の実効性に関する分析・評価を実施しております。

評価の方法

 社外を含む全ての取締役(監査等委員を含む)を対象に、外部機関に委託して「取締役会実効性評価アンケート」(無記名方式、大項目6つ、5段階評価)を実施しました。その結果について、評価点が他項目対比で下回る項目及び社内取締役と社外取締役の間若しくは他社平均値とのギャップが大きい項目について、重点的に取締役会において議論し、決議しております。

評価項目と結果の概要 (2020年度)

 各取締役による評価アンケートの集計の結果、全ての大項目における全体平均は、4.0以上の評価点となっており、当社取締役会全体における実効性は確保できていると分析・評価いたします。
 一方で、「子会社を含めたグループ全体の内部統制システムの構築及び運用状況の十分な監督・監視」や「株主(投資家)との対話状況の十分なフィードバック」といった点については、課題や工夫の余地が見られると認識しました。

(※)社外を含む全ての取締役(監査等委員を含む)のスコアの平均値

過去の評価で認識した課題とその対応


役員報酬について
 議案の補足情報として第168期事業報告 「4.会社役員に関する事項」の「(5)役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項」を掲載順を組み換えて、以下に記載しております。

役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項
 当社の役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針は以下のとおりであり、指名・報酬委員会の審議及び答申を踏まえ、2021年2月26日に開催されました当社第947回取締役会において決議しております。

①役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針及び決定方法
 当社グループは、「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」を企業理念としております。この企業理念のもと、当社の役員報酬制度は、経営責任が明確になり、かつ、持続的な成長による中長期的な企業価値向上へのインセンティブとなるように、設計しております。

 監査等委員でない社内取締役及び経営役員の報酬については、(ア)固定報酬としての月額報酬(イ)業績連動報酬としての賞与(ウ)株式報酬により構成されており、それらは概ね、50%:35%:15%の割合で構成されております。監査等委員でない社内取締役の月額報酬については、株主総会にて決議された限度枠内で、職位に基づいて設定されている内規上の報酬テーブルをベースに職責並びに外部報酬調査データ等を総合的に勘案して算定し、個別支給額に関する指名・報酬委員会の審議及び答申を踏まえ、個々の支給対象者の業務能力を含む総合的評価を実施するのに最適任者である代表取締役社長(氏名:青木武志 主な担当:執行全般統括)に再一任する旨を取締役会で決議しております。また、賞与については、株主総会にて決議された所定の計算式に基づいた総額の範囲内で、年1回、事業年度終了後に金銭で支給しております。その個人の配分額については、監査等委員でない社内取締役の各々の業務に対する貢献度に基づき決定し、個別支給額に関する指名・報酬委員会の審議及び答申を踏まえ、個々の支給対象者の業績への貢献度に関する最終評価を実施するのに最適任者である代表取締役社長に再一任する旨を取締役会で決議しております。当事業年度における所定の計算式に基づく取締役賞与支給総額は206百万円でありますが、支給対象者の役位・部門業績等への貢献度並びに外部報酬調査データ等を総合的に勘案し、指名・報酬委員会における審議の結果を踏まえ、2021年5月14日開催の取締役会において、155百万円を支給することを決議いたしました。

【報酬構成の基本方針】(監査等委員でない社内取締役)

 当社取締役会として、当事業年度に係る監査等委員でない社内取締役の個人別の報酬等の内容は、グループ経営における監査等委員でない取締役の経営責任を明確にし、かつ、業績及び企業価値向上へのインセンティブを高める設計となっており、上記方針に沿うものと判断しております。なお、当事業年度における監査等委員でない社内取締役の賞与の算定に係る親会社株主に帰属する当期純利益の直近の目標値(予想値)は240億円及び年間配当総額の予想は48億96百万円としておりましたところ、その実績は、親会社株主に帰属する当期純利益が256億98百万円及び年間配当総額は48億96百万円となりました。
 経営役員の月額報酬については、職位に基づいて設定されている内規上の報酬テーブルをベースに、監査等委員でない社内取締役とのバランス、個々の業務能力の評価並びに外部報酬調査データ等を総合的に勘案して算定し、指名・報酬委員会の審議及び答申を踏まえ、代表取締役社長に一任する旨を取締役会で決議しております。また、賞与については、各経営役員の業績に対する貢献度等に基づいて算定し、指名・報酬委員会の審議及び答申を踏まえ、代表取締役社長に一任する旨を取締役会で決議しております。なお、監査等委員でない社外取締役及び監査等委員の報酬については、業務執行から独立して監督する立場であり、株主総会において決議された限度額の範囲で一定の金額の固定報酬のみ支給しております。

②役員の報酬に関する株主総会決議の内容の概要
(ア)監査等委員でない取締役の月額報酬については、2017年6月16日開催の当社第164回定時
株主総会において月額30百万円(うち社外取締役分5百万円(決議時点の員数3名)、その他の取締役分25百万円(決議時点の員数4名)以内)と決議いただいております。

(イ)監査等委員でない社内取締役の賞与については、2017年6月16日開催の当社第164回定時株主総会において監査等委員でない社内取締役に対して、賞与総額として、各事業年度の親会社株主に帰属する当期純利益の0.5%と当該事業年度の年間配当額の1.6%との合計額(ただし、年額4.4億円を上限とし、計算の結果生じる百万円未満の数字については、これを切り捨てる。)を支給すると決議(決議時点の員数4名)いただいております。なお、賞与総額の算定に係る業績指標としまして、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るインセンティブとして機能し、かつ、株主の皆様の利益にも連動した指標として、親会社株主に帰属する当期純利益及び年間配当総額を採用しております。

(ウ)監査等委員でない社内取締役の株式報酬については、当社株式価値と取締役の報酬との連動性をより明確にし、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的として、2017年6月16日開催の当社第164回定時株主総会において、監査等委員でない社内取締役(決議時点の員数4名)に対し、信託を用いた株式報酬制度の導入を信託期間3年、期間中の拠出額上限2.7億円で決議いただいております。本制度は、支給対象者の役位、前年度月額報酬及び賞与金額により構成される内規上の計算式で算出された支給金額を1ポイント1株で換算したポイントを付与(ただし、付与するポイントの総数は、1事業年度当たり100,000ポイントを上限とする。)し、退任時に株式を付与する制度であります。

(エ)当社の監査等委員である取締役の報酬は、2017年6月16日開催の第164回定時株主総会において月額13百万円以内(決議時点の員数5名)と決議いただいております。 

③取締役の報酬等の額

(注)

記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

(ご参考)監査等委員会意見

 監査等委員会は、当社の監査等委員でない取締役の報酬について、報酬体系の考え方、報酬額算定方法及び指名・報酬委員会の審議内容を確認し、妥当であると判断します。

イビデンの取締役会について
 イビデンは100年以上にわたって、大胆かつしなやかに事業構造を変革させながら成長を続けてまいりまし
た。その根底に流れるイビデンウェイを継承しつつ、ガバナンスに関しても、ビジネス、社会環境の変化にスピード感を持って対応できる体制構築を進めてまいりました。2014年6月の社外取締役就任以来、この数年の間にも監査等委員会設置会社への移行、社外取締役の増員、株式報酬制度の導入、役員体制のスリム化など、大胆なガバナンス改革を実施してきました。私は2019年より指名・報酬委員会の委員長を務めておりますが、現在のイビデンの取締役会は半数が独立社外取締役で構成されています。ただ、そういった外見的な事実だけでなく、指名においては社内外における知識・経験・能力をバランスよく融合し、実効性を発揮していけるメンバーであることを念頭に議論を重ねています。
 イビデンという会社がここまで長く存続することができたのも、革新的な技術で社会の期待に応え続けてきたからであり、今後も変わることはありません。イビデンウェイを実践し、持続的成長を実現していくことがインセンティブになるという部分を改めて明確にするため、役員報酬の決定方針に関しても2021年2月26日の取締役会で決議しております。

経営のダイナミズムを活かす、多様な知見を持った社外取締役
 私も含め、社外取締役として期待される役割と責務は経営への助言と監督を通じて、株主の長期的な利益に合
った判断に導くことであると認識しています。ただ、それを経営のダイナミズムを損なわず機能させていくため、執行側が必死に下した決断を極力理解して応援する気持ちを持ちつつも客観的に評価すること、また大きなフレームワークの中で経営判断の是非を評価することを常に心掛けています。その上で、企業トップ、国際ビジネス、ガバナンス、アカウンティングといった各人の多様なバックグラウンドから特に経営が負うリスクをどのようにコントロールしていくかといった視点で気になる点を、適宜フィードバックしています。

実効性評価結果を受けて
 2020年度の実効性評価は2021年2月に実施を致しましたが、「子会社を含めたグループ全体の内部統制シス
テムの構築及び運用状況の十分な監督・監視」と「株主(投資家)との対話状況の十分なフィードバック」という2つの課題を認識しました。1つ目の課題に関しまして、現在もグローバルでのガバナンス管理は充分な機能を有していると思いますが、これから更にグローバル企業として発展していくために重要なことは、100年以上に渡り紡いできた素晴らしい価値観を、海外グループ会社をはじめとする外国人とも共有できるものに昇華させていくことではないかと考えています。また、2つ目の課題ですが、我々社外取締役は株主様の代表という側面も持ち合わせているため、今後も株主・投資家の皆様から頂戴する経営へのヒントが、中長期目線での株主価値の向上や持続的成長に資するものと判断した場合には、それを上手く経営に取り込んでいくための橋渡し役になることができればと考えています。


政策保有について


政策保有状況(単体)の推移

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2021/06/18 11:00:00 +0900
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