Message 社長メッセージ

株主・投資家の皆様へ

株主の皆様におかれましては、平素よりイビデン株式会社並びにイビデングループ各社に格別のご配慮を賜り厚く申しあげます。

過年度業績レビュー

電子事業について、PKG事業におきましては、パソコン向け需要が夏場以降に減速したものの、サーバー向けの需要が概ね堅調に推移したことにより、全体として売上高・営業利益ともに前年度に比べ増加しました。
セラミック事業について、DPF 事業は、欧州市場を中心とした乗用車市場のEV化の加速を受け、大型商用車向け製品への受注シフトを進めたものの、売上高は前年度に比べ減少しました。営業利益は、主力工場のイビデンハンガリーにおいて、原材料費やエネルギー価格の高騰による影響を受けたことにより、前年度に比べ減少しました。AFP 事業は、揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司の安定した量産体制のもと、中国市場での拡販を進めた結果、売上高は前年度に比べ増加したものの、原材料費高騰の影響により、営業利益は前年度並みとなりました。FGM事業におきましては、半導体製造装置向け製品を中心に需要の高まりを受け、売上高・営業利益ともに前年度に比べ増加しました。 以上の結果、セラミック事業全体では前年度に比べ、売上高は同水準、売上利益は減益となりました。
その他事業におきましては、国内経済の新型コロナウイルス感染症拡大による影響からの復調に伴い、各事業ともに概ね堅調に推移した結果、売上高は前年度に比べ増加したものの、原材料価格の高騰などにより、営業利益は前年度に比べ減少しました。

今期の見通し

電子事業におきましては、足もとではパソコン需要の急減速やデータセンターなどで使われる高性能サーバーの大口ユーザーの投資抑制により、半導体需要の伸びが鈍化しております。今年度の後半より、パソコン市場の在庫調整が一巡することに加え、DX の進展やAI分野の進化、さらには、自動運転などの新たな分野も含めた用途の拡大が期待されます。こうした市場動向を受けまして、データセンター向け高性能サーバーの大口ユーザーの需要回復が見込まれ、高機能な IC パッケージ基板の需要増加が予測されます。当社におきましては、河間事業場、さらには経済産業省の助成対象となっております大野事業場の建設を計画通りに遂行することにより、従来から当社が強みを持つ高付加価値製品におけるシェアを拡大してまいります。
セラミック事業におきましては、主力の DPF・AFP 事業は、乗用車市場においては、電動化の流れは継続するものの、合成燃料などの新技術により、内燃機関搭載車の市場は2030年代まで延命することが予測されております。また、中・大型商用車市場においては、中国・新興国を中心とした排ガス規制の強化を背景に、市場の拡大が見込まれております。当社におきましては、日本・ハンガリー・メキシコ・中国の4 拠点を活かした最適地生産を継続するとともに、伸びる中国・新興国市場の需要を取り込み、さらには電動車向け部材の拡販を進めることで、中長期での成長路線を堅持してまいります。また、FGM 事業は、電動車でも使用されるパワー半導体を含めた、中長期的な半導体需要の伸びに対し、積極的に設備投資を行うことで、事業を拡大してまいります。
その他事業におきましては、国内グループ各社の独自競争力を持つコア事業の拡大と併せて選択と集中を実施することで、安定した電力事業とともに、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。

持続的成長へ向けた取り組み

当社グループでは、2023 年度より始動する新たな5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」を策定しました。新中期経営計画におきましては、5本の活動の柱を軸に、事業環境変化に確実に対応し、電子事業を中心としてセラミック・その他事業も持続可能な安定成長を実現することで、2025年度において、売上高6,200億円、営業利益1,250億円の達成を目指してまいります。
また、人的資本経営として、自立型人財の育成と柔軟な組織運営を実施する中で、心身ともに健康で社会的に満足できる職場環境を提供する「ウェルビーイング」の実践により、継続的な従業員個人の成長と会社の競争力強化を実現してまいります。さらに、ESG経営としてカーボンニュートラルへの取り組みに加えて、高度化するコーポレートガバナンス要求への対応を継続してまいります。

当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、この不確実性の時代を乗り越え、新中期経営計画の目標達成とともに、その先の永続的・安定的な成長を実現するための取り組みを継続してまいる所存でございます。
株主の皆様におかれましては、今後も当社グループへの変わらないご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役社長  青木 武志