Top Message トップメッセージ
株主・投資家の皆様へ
株主の皆様におかれましては、平素よりイビデン株式会社並びにイビデングループ各社に格別のご配慮を賜り、厚く御礼申し上げます。
過年度業績レビュー
電子事業におきましては、パソコン市場においては、2022年度後半からの需要急減速に伴う在庫調整は一巡したものの、全体として力強さに欠ける水準で推移し、サプライヤー間の価格競争が激化しました。サーバー市場においては、生成AI関連を中心とした新たな成長領域は好調に推移しましたが、汎用サーバー市場は、大口ユーザーの投資水準に底打ち感は見られたものの、回復ペースは緩やかな水準に留まりました。
自動車業界の排気系部品市場は、中国国内の景気減速及び世界的な景気停滞に加え、国内自動車メーカーのエンジン認証問題に伴い、グローバルでの自動車生産台数の伸びは鈍化しました。
今期の見通し
電子事業におきましては、採算性を重視した受注方針と合わせてAI向けを中心とした成長領域の受注に対応するため、既存工場における新たな顧客の認定と生産ラインの改造を進めました。また、将来の成長に向けた布石として、大野工場の建設と立ち上げを進めるとともに、資産の価値を現状の受注水準に合わせるため、イビデンフィリピン及び一部の国内工場におきまして、固定資産の減損処理を実施しました。市場環境変化への対応とAI向けを中心とした成長市場の需要を確実に取り込むべく、既存工場の生産能力を柔軟に活用した生産数量の最大化と、大野工場の今年度下期からの量産開始を計画通り進めてまいります。
セラミック事業におきましては、電動車(NEV)向け新製品が立ち上がったことにより、2025年度よりNEV事業部として技術開発本部より事業移管しております。DPF・AFP事業においては、今後も継続する内燃機関の成長市場としての中国・インドを中心とした新興国市場の産業用車両(トラック・建機など)向けの需要を確実に取り込んでまいります。一方で、中長期的には、乗用車市場における電動化の流れは不可逆的な流れであり、車載関連事業の永続的な成長に向け、NEV事業においては、NEV向けバッテリー用安全部材の拡販を継続してまいります。FGM事業においては、各種半導体製造装置向け需要の動向を見極めつつ、自社の競争力が最大限に発揮できる市場に集中的かつ計画的な投資を行うことで、事業を拡大してまいります。
持続的成長へ向けた取り組み
当社グループでは、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」で掲げている5本の活動の柱に基づき、事業環境変化に確実に対応し、電子事業を軸にセラミック・その他事業も持続可能な安定成長を実現することで、中期経営計画の最終年度である2027年度において、売上高6,000億円、営業利益率15%の達成を目指してまいります。さらに、長期の経営目標として、2030年度において、売上高7,500億円、営業利益率20%の達成を目指してまいります。
また、企業文化の改革を推進する中で、経営と従業員の視点による人的資本経営を実践してまいります。自立型人財の育成を重視し、従業員一人ひとりが働きがいと誇りを感じながら、その能力を最大限に発揮できる人事制度改革を進めてまいります。さらに、経営の基盤を支えるESG経営として、カーボンニュートラルへの取り組みに加えて、年々高度化するコーポレートガバナンス要求への対応を継続してまいります。
株主・投資家の皆様との対話充実に向けて
当社グループでは、株主・投資家の皆様との建設的な対話を重視し、企業価値向上に繋がるIR活動を積極的に推進してまいります。具体的には、定期的な決算説明会資料の開示に加えて、説明会での主な質疑応答を開示するなど、ウェブサイトやIR資料の改善を通じて、迅速かつ分かりやすい情報発信に努めます。また、私自身がIR活動を重要な経営課題と認識し、積極的に関与してまいります。皆様からのご意見やご要望を真摯に受け止め、経営に反映させることで、企業価値の向上を目指してまいります。
当社におきましては、IR活動の専門性を高め、より効果的な情報発信と対話を実現するため、IR担当役員を配置するとともに、2025年4月よりIR専任部署を設置いたしました。専任部署を中心に、トップ面談を含めたIR活動を充実させることで、株主・投資家の皆様とのコミュニケーションをより一層強化してまいります。
当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、この不確実性の時代を乗り越え、中期経営計画の目標達成とともに、その先の永続的・安定的な成長を実現するための取り組みを継続してまいる所存でございます。
株主の皆様におかれましては、今後も当社グループへの変わらないご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
代表取締役社長 河島 浩二