事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における世界経済は、堅調な米国経済に支えられ緩やかに成長しましたが、米中の通商問題に端を発した中国経済の減速、更には、年度終盤における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行による経済活動の減速など不安定さを増しております。国内経済も、不安定な世界経済の動向やCOVID-19の影響を受け、輸出や生産の一部に弱さが見られるなど、企業をとりまく経営環境は厳しい状況にあります。
 半導体・電子部品業界の市場は、スマートフォン市場は前年対比でマイナス成長となりましたが、パソコン市場では買い替え需要が持続したことに加え、データセンター向けサーバー市場を中心とした新たな市場が概ね堅調に推移したこともあり、全体としては成長傾向で推移しました。
 自動車業界の排気系部品市場は、自動車販売台数が世界的に大きくマイナス成長となったことに加えて、欧州乗用車市場におけるディーゼル車販売比率の低下が継続するなど、厳しい状況が継続しました。
 このような情勢のもと、当社におきましては、2018年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」に基づき、人財育成を基盤に、伸びる市場に対して積極的に経営資源を投入し、既存事業の競争力と新規事業の拡大による安定した成長の実現に向けた取り組みを進めております。
 これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,959億99百万円と前連結会計年度に比べ48億73百万円(1.7%)増加しました。営業利益は196億85百万円と前連結会計年度に比べ95億48百万円(94.2%)増加しました。経常利益は213億64百万円と前連結会計年度に比べ87億64百万円(69.6%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益に関しましては113億29百万円と前連結会計年度に比べ80億23百万円(242.7%)増加しました。


電子事業

主な製品用途
▪パッケージ基板
(パソコン・サーバー向け、携帯端末向け、情報家電向け)
▪プリント配線板
(携帯電子機器向け)

 パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコンの買い替え需要が維持されたことに加えて、情報通信技術(ICT)の進展に伴うデータ処理量の増加により、データセンターで使われるサーバー向けICパッケージ基板の需要が順調に推移した結果、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、モジュール基板の売上は堅調に推移しましたが、ハイエンドスマートフォン向けの売上が減少した結果、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 以上の結果、電子事業の売上高は1,321億70百万円となり、前連結会計年度に比べ14.0%増加しました。同事業の営業利益は、PKG事業における高付加価値製品への注力に加え、不採算製品の生産縮小などによる事業の選択と集中を進めた結果、148億92百万円となり、前連結会計年度に比べ487.9%増加しました。

セラミック事業 

主な製品用途

▪ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)
▪触媒担体保持・シール材(AFP)
▪NOx浄化用触媒担体(SCR)
▪特殊炭素製品(FGM)
(半導体製造装置向け、新エネルギー関連向け)
▪高温断熱材
▪ファインセラミックス製品

 ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、主力の欧州市場を中心としたディーゼル乗用車比率低下による影響を受け、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。今後、排ガス規制の強化に伴い拡大が見込まれる新興国の大型車向けDPF市場におけるシェア拡大と新規顧客への拡販に取り組んでまいります。
 触媒担体保持・シール材(AFP)は、世界的に自動車販売が減少したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 NOx浄化用触媒担体(SCR)は、主に石炭火力発電所で使用される定置式の脱硝触媒の販売が減少したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 特殊炭素製品(FGM)は、米中貿易摩擦の影響に端を発した半導体市場の減速により、一時的に需要が減少した結果、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 以上の結果、セラミック事業の売上高は884億27百万円となり、前連結会計年度に比べ13.7%減少しました。同事業の営業損失は9億81百万円となりました(前連結会計年度は29億66百万円の営業利益)。

建設・その他事業  

主な事業内容

▪各種設備の設計・施工
▪メラミン化粧板・住宅設備機器
▪法面工事部門 ▪造園工事部門
▪石油製品販売部門
▪情報サービス等の各種サービス業

 建設部門におきましては、受注は堅調であるものの、大型の完成工事が減少したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 以上の結果、建設事業の売上高は56億97百万円となり、前連結会計年度に比べ5.1%減少しました。同事業の営業利益は、15億19百万円となり、前連結会計年度に比べ12.4%増加しました。
 その他事業におきましては、住宅設備機器販売部門は、消費税増税の影響を受け着工件数が伸び悩んだことから横ばいとなりましたが、造園工事部門では、首都圏の緑化工事を中心に、オリンピック需要の取込みと合わせて拡販に努めた結果、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。また、情報サービス部門では、健診クラウド・リハビリシステムの需要が順調に推移した結果、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 以上により、建設及びその他事業を含めた売上高は754億1百万円となり、前連結会計年度に比べ3.8%増加しました。同事業の営業利益は58億27百万円となり、前連結会計年度に比べ24.6%増加しました。

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2020/06/17 11:00:00 +0900
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