経営方針、経営環境及び対処すべき課題

会社の経営の基本方針

企業理念

『私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します』

当社グループの企業理念体系
~イビデンウェイ~

当社グループの長い歴史における、「幾多の困難を全員で乗り越え、イビデンを存続させてきた力」と「近年の飛躍的な成長を実現させた英知と活力」。これらを、世代や国籍を超えて受け継がれるように体系化したものが「イビデンウェイ」です。


共有すべき行動精神

誠実
私たちは、現地現物を行動の基本におき、顧客や社会からの信頼に応えます。


私たちは、全員参加のもと、多様な英知を結集し、より大きな力を生み出します。

積極性
私たちは、時代の変化を予見し、新たな価値の創造に果敢に挑戦します。

イビテクノの進化
私たちは、創意と工夫を重ね、高き目標をやりきることで成長します。

イビデンのDNA

 イビデンのある大垣市は、かつて揖斐川を通じて東海道の要衝桑名と結ばれる水運の商業地として隆盛を極めました。やがて明治維新後の衰退を受け、揖斐川の豊富な水源を利用した水力発電事業による産業誘致に活路を見出すべく、当社の前身である「揖斐川電力株式会社」が設立されました。揖斐川電力株式会社は大垣再興のシンボルとして大企業の工場誘致による発展に貢献しました。その後、電力事業で培った電気炉技術を応用し、電気化学工業へ進出し、ものづくり企業としての歴史をスタートさせます。
 以降、石炭から石油へのエネルギー革命、高度経済成長、情報化社会へのシフトなど、時には存続の危機に陥れるような外部環境においても、常にその時代の業界のリーディングカンパニーである当社のお客様から次の時代のニーズを敏感に嗅ぎ取り、蓄積した要素技術を応用した新たな技術・製品を生み出してきました。
 このような変化の中でも一人ひとりが当事者意識を持ち、「現地」、「現物」、「自掛(じがかり)」を実践する企業風土と高き目標に挑戦する「人財」こそが、難局を乗り越える大きな力であったと考えています。また、水力発電から始まったイビデンの事業には常に「自然の恵み」が欠かせませんでした。イビデンが積み重ねた107年は常に自然の恵みに感謝をし、共生していくことと向き合ってきた歴史でもあります。
 これらの先人たちの精神は、イビデンが大切にする価値観「イビデンウェイ」として現在に受け継がれ、次を担う世代にも襷(たすき)をつないでいきます。

新たな環境変化へ挑むための基盤づくりに邁進

 当社グループは、環境の変化を乗り越え、持続的な成長を実現するため、2018年度より5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」を始動しております。
  2020年度は折り返しの年度となりますが、選択と集中の視点で、伸びる市場への積極果敢な経営資源の投入を継続するとともに、オープンイノベーションやアライアンスなど外部との連携も強化することで、既存事業の収益基盤を固めつつ、新製品の事業化に確かな道筋を付けることで、中・長期での安定した成長を実現してまいります。また、全てのステークホルダーの皆様より信頼される会社に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を積極的に推進してまいります。
  当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、この厳しい状況を乗り越え、企業間競争を勝ち抜いていく所存でございます。


(ご参考)当社グループのビジネスモデル ~イビデンの価値創造ストーリー~

「人」「地球環境」を大切にし、「イビテクノ」を進化させることで、持続的な価値創造を実現します。

 地域経済の振興を目的とした水力発電会社として創立した当社は、人と地球環境を大切にし、技術開発型企業として最先端の技術で、社会の発展に貢献してきました。これからも、独自の技術を進化・融合させ新たな技術を開発する「イビテクノ」を絶え間なく進化させることで、新しい価値の創造に挑戦し続けます。

(ご参考)中長期的な会社の経営戦略
事業環境の変化

(ご参考)中期経営計画 ~To The Next Stage 110 Plan~

目標とする経営指標

対処すべき課題

事業環境

 今後の世界経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響拡大による経済活動の減速が懸念されるなど、先行きを予測することはますます難しくなっております。COVID-19による当社事業への影響につきましては、サプライチェーンの停滞や自動車市場の減速などが見込まれ、不透明な状況が続くと思われます。当社グループにおきましては、全社の総力をあげ、従業員及びステークホルダーの皆様の安全最優先を前提に、機動的かつ柔軟な施策を講じることで、事業への影響を最小限に留めてまいります。

電子事業

 今年度の当社電子事業の市場におきましては、ハイエンドスマートフォンの需要減少が続くなか、5G・ICTの進展によるデータセンター市場の拡大、更に車載用画像解析など、より高機能でファインな電子部品の需要が拡大すると予測されます。当社におきましては、最先端のICパッケージ基板向け大型投資の量産を開始することにより、従来から当社が強みを持つ最先端分野におけるシェアを拡大してまいります。また、併せて市場の変化に対応した生産体制・生産品目の選択と集中を引き続き進めてまいります。

(ご参考)

持続的成長への課題

来るべき5G・ICT時代へ向けた需要増に、更なる生産能力増強で応える
 今後、半導体市場は、5G・ICTの進展によるデータセンター市場の拡大や、車載用の画像解析など、企業活動を中心にデジタル化やクラウド化が加速し、高機能ICパッケージの更なる需要拡大と難仕様化が見込まれております。当社では、2018年11月に決定した総額700億円の設備投資に加え、追加で以下の設備投資の実施を決定いたしました。これらの需要に確実に対応することで、高機能ICパッケージの分野における強固な地位を確立し、電子事業を持続的に成長させていくことに加え、人々の暮らしや経済活動をより豊かに変えていくデジタルトランスフォーメーションの進展に積極的に貢献してまいります。

<設備投資の概要(予定)>

  1. 投資内容:ICパッケージ基板生産設備の能増更新及び次世代対応投資(第2期投資)
  2. 投資額:600億円(2020~2022年度合計、第1期投資と合わせた金額は1,300億円)
  3. 設置場所:大垣中央事業場(第2棟)等
  4. 稼働時期:2020年度末より順次稼働開始し、2021年度より量産開始の計画

セラミック事業

 セラミック事業におきましては、主力のディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)事業は、世界的な自動車市場の成長鈍化に加え、欧州を中心にディーゼル乗用車比率の低下が継続すると予測されます。今年から始まる排ガス規制の強化によって需要の拡大が見込まれる新興国・大型車用の受注を確実に取り込むとともに、グローバルで生産性とコスト競争力を高めることで、中期的に安定的な収益を生み出せる事業に再構築してまいります。また、AFP・FGM事業は、需要拡大が見込まれる市場及び分野に対して、積極的に設備投資を行うことで、セラミック事業全体を安定的な成長軌道に乗せてまいります。

(ご参考)

持続的成長への課題
中国に触媒担体保持・シール材の新たな生産拠点を設立
 当社におきましては、世界最大の自動車市場である中国市場において、触媒担体保持・シール材の生産能力増強及び顧客サポート強化を図る目的で、以下のとおり生産拠点を新規設立することを決定いたしました。
 自動車市場全体で見れば、今後、環境規制の強化に伴い、高機能な触媒担体保持・シール材の需要拡大が見込まれております。当社におきましては、需要拡大が見込まれる市場及び分野に対して、積極的に設備投資を行うことで、セラミック事業全体を安定的な成長軌道に乗せてまいります。

<設備投資の概要(予定)>

  1. 会 社 名:イビデンファインセラミック蘇州株式会社  IBIDEN Fine Ceramics(Suzhou) Co., Ltd.
  2. 投 資 額:約25億円
  3. 設立場所:中華人民共和国 江蘇省
  4. 稼働時期:2021年度上期(予定)より稼働開始

  5. 建設・その他事業

     建設・その他事業におきましては、国内グループ各社の独自の競争力を持った製品による事業拡大と電力事業により、当社グループの安定的な収益源としての位置づけを確かなものにしてまいります。

    (ご参考)新規事業の拡大 

    (1)早期事業化へ向け、開発体制を再編
     当社においては、2017年度に4つの開発センターを設立し、既存コア技術をベースに社会問題の解決・顧客ニーズを捉えた新製品の研究開発に取り組んでまいりました。3年間の取り組みの結果、開発の方向性に一定の目途が付いたことにより、2019年度末をもって開発センターを発展的に解散し、世界人口増加による将来の食糧危機を解決するための植物性タンパク質(バイオマテリアル)製品と、環境問題・エネルギー問題を解決するための電動車向け製品について、社内プロジェクトを新設し、事業化に向けた仕上げに入ってまいります。その他の開発領域においては、技術開発本部におきまして、感染症リスクを低減するための抗ウイルスコート剤や、航空機エンジンの燃費を飛躍的に向上させる先進セラミック製品などの開発を進めております。

    (2)研究開発費
     売上高比率5%以上を目安に、研究開発投資を実施し、次世代製品の開発と新製品の早期事業化を目指します。

    (ご参考)人財育成 

     多様な人財が個々の能力を発揮でき、生きがい・働きがいを感じることができる職場環境・風土の実現を目指しています。 
     その一環として、当社は2010年度より女性活躍推進活動に取り組んでおります。両立支援制度の改善や研修開催等に加えて、各部署より選ばれた女性社員とその上司を対象とした研修プログラム「女性活躍推進ポジティブアクション活動」を実施しております。女性管理職(課長級以上)比率の向上に向け、その母集団となる係長級の女性社員の育成・登用に向けた支援に加え、対象となる女性社員の上司への意識教育を積極的に進めております。女性だけでなく外国人やベテラン社員、更には障がい者も含めた多様な人財が、一人ひとりの強みを生かし、活き活きと活躍できる職場環境づくりを積極的に進めてまいります。

    上記、環境・社会面の対応に加え、コーポレートガバナンスの実効性の強化を進めることで、外部ESG評価機関からも高い評価を受け、MSCI ジャパンESGセレクトリーダー指数(3年連続)、FTSE Blossom Japan Index(3年連続)などのESG投資指数の構成銘柄に継続して選定されております。


    (ご参考)ESG経営の推進

    (1)コーポレート・ガバナンス ~役員体制の更なるスリム化~ 
     当社は2017年6月16日開催の第164回定時株主総会において、経営のスリム化及び意思決定の迅速化を目的として、監査等委員会設置会社への移行をご承認いただきました。現在、当社の主力事業である電子・セラミック両事業ともに、移り変わりの激しい事業環境に置かれています。その中で今後も競争力を維持・拡大していくため、もう一段階ステージを上げて、意思決定と執行のスピードアップを更に推進していく必要があると考えております。そこで当社では、2020年4月1日付で以下のように役員体制の変更を実施いたしました。

    執行役員職を廃止、役員数削減(23名→15名) 
      会長、社長、副社長、社外取締役、専務、常務及び監査等委員を役員とする。
    専務執行役員及び常務執行役員の名称を「経営役員」に変更 
      部門のトップとして執行をリードするとともに、経営の担い手として全社の経営課題の解決にあたるという役割を明確化。
    執行役員、幹部職は、「幹部職」(社員)に統合
      現場トップとして迅速に意思決定を行うとともに、担当分野における執行責任と権限を行使するという役割を明確化。機動的に適材適所の配置を可能にする。


    (2)環境経営  
     当社は、現在も揖斐川上流に3つの水力発電所を所有しています。計画的な改修工事を実施することで、発電出力の維持向上に努めるとともに、太陽光発電施設を各事業場などに設置することで、再生可能エネルギーの供給を進めています。また発電効率の高いガスエンジンコージェネレーション等の導入を進め、自家発電による低炭素エネルギーを活用した生産活動を推進しております。 
     気候変動をはじめとする環境リスク低減に向けては、省エネルギー・資源循環などの活動をサプライチェーンと一体となって推進するとともに、今後予想されるモビリティ環境の変化や社会的課題を捉えた製品開発で市場と社会からの支持を獲得し、地球環境と共存しながら持続可能な発展を目指してまいります。

    (3)株主還元の考え方  
     当社は、当社グループの事業拡大、収益力の向上による株主価値の拡大を目指しており、中期経営計画を開示しております。資本政策につきましては、事業環境の変化に対し安定的な経営を行うために必要となる十分な株主資本の水準と株主構成を保持することを基本方針としております。また、株主還元につきましては、連結配当性向30%を目処とし、長期安定配当とのバランスを総合的に検討して実施しております。


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2020/06/17 11:00:00 +0900
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