事業の経過およびその成果

 当連結会計年度における世界経済は、堅調な米国及び欧州経済に支えられ、全体としては緩やかに成長しました。国内経済は、設備投資や企業生産が増加し、また、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、総じて緩やかな回復基調をたどりました。

 半導体・電子部品業界の市場は、スマートフォン及びデータセンターをはじめとした新たな市場の成長が加わり全体としては成長傾向で推移しましたが、パソコン市場については、一部で持ち直しの兆しが見られたものの、依然として前年対比でマイナス成長が続きました。

 自動車業界の排気系部品市場は、北米を中心とした大型車市場並びに欧州の乗用車市場を中心に、総じて好調に推移しました。

 このような情勢のもと、当社グループにおきましては、永続的・安定的な企業成長に向け、「現地・現物・自掛」を基本とした人財育成を中心とした企業体質づくりに取り組んでおります。併せて、電子事業、セラミック事業及び国内関連会社事業と電力事業で構成される「その他事業」を合わせた3つのセグメントによる安定した収益構造を目指し、各事業の競争力強化に取り組んでおります。さらには、中長期の成長を支える新たな事業の柱の構築に向け、新製品開発を着実に進めております。具体的には、2017年度より新たに4つの開発センターを発足し、新製品の開発及び早期上市に向けた取り組みを開始すると共に、株式会社デンソーと2017年4月27日付で資本業務提携契約を締結し、次世代の排気システム及び電動化領域において共同研究開発を実施することで、開発に弾みを付けてまいります。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は3,004億3百万円と前連結会計年度に比べ339億44百万円(12.7%)増加しました。営業利益は167億2百万円と前連結会計年度に比べ95億60百万円(133.9%)増加しました。経常利益は176億3百万円と前連結会計年度に比べ153億2百万円(665.0%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益に関しましては115億83百万円(前連結会計年度は628億48百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。


電子事業

主な製品用途
▪パッケージ基板
(パソコン・サーバー向け、携帯端末向け、情報家電向け)
▪プリント配線板
(携帯電子機器向け)

 パソコン用パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン市場全体は引き続き前年対比でマイナス成長が継続しておりますが、新分野及び新規顧客の開拓に努めたことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 スマートフォン・タブレット用小型・薄型基板(CSP)事業におきましては、ファンアウトウエハーレベルパッケージ(FO-WLP)の上市による影響が継続したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 マザーボード・プリント配線板(PWB)事業におきましては、ハイエンドスマートフォンにおいて新たな薄型・高密度配線基板の採用が進展したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 以上の結果、電子事業の売上高は1,155億73百万円となり、前連結会計年度に比べ16.5%の増収となりました。同事業の営業利益は、昨年度の事業構造改革による効果もあり、8億53百万円(前連結会計年度は36億49百万円の営業損失)となりました。

セラミック事業

主な製品用途
▪ ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)
▪触媒担体保持・シール材(AFP)
▪NOx浄化用触媒担体(SCR)
▪特殊炭素製品(FGM)
(半導体製造装置向け、新エネルギー関連向け)
▪高温断熱ウール
▪ファインセラミックス製品

 大型車を含む欧州を中心に世界的に自動車市場が堅調に推移したことにより、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)及び触媒担体保持・シール材(AFP)共に、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 NOx浄化用触媒担体(SCR)は、自動車・エネルギー関連向け製品共に堅調に推移したことにより売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 特殊炭素製品(FGM)は、半導体市場が堅調に成長したことに加え、新技術・新素材主体に拡販を進めた結果、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 以上により、セラミック事業の売上高は1,134億25百万円となり、前連結会計年度に比べ11.9%増加しました。同事業の営業利益は、自動車向け製品を中心とした増産効果などにより、105億25百万円となり、前連結会計年度に比べ143.5%増加しました。

その他事業

主な事業内容
▪メラミン化粧板・住宅設備機器
▪法面工事部門
▪造園工事部門
▪合成樹脂加工部門
▪石油製品販売部門

 建材部門におきましては、化粧板関連部門は、トイレブース向けメラミン化粧板及び不燃化粧板の拡販に努めたことにより、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。また、住宅設備機器部門は、コンポーネント住宅及び賃貸住宅向けの販売が増加したことにより、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
 建設部門におきましては、法面工事部門及び造園事業部門は、期初繰越工事が前年度よりも増加したことに加え、年度内に完成する工事を重点的に受注し完工したことにより、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
 その他部門におきましては、石油製品販売部門は、販売数量の減少を販売価格の上昇で補い、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。また、合成樹脂加工部門は、自動車分野並びに精密分野向け発泡樹脂製品の販売数量減により、前連結会計年度に比べ売上高は減少しました。
 以上により、その他事業の売上高は714億5百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。同事業の営業利益は54億17百万円となり、前連結会計年度に比べ17.1%減少しました。

2018/06/15 16:00:00 +0900
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