事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における世界経済は、年度の前半は堅調な米国経済及び回復基調の欧州経済に支えられ、緩やかに成長しましたが、年度の後半にかけては米中の通商問題に端を発した中国経済の減速傾向、更には英国のEU離脱に向けた政治的混乱など、不安定さを増しております。国内経済も、不安定な世界経済の動向に伴う影響を受け、輸出や生産の一部に弱さが見られるなど、企業をとりまく経営環境は不透明な状況にあります。
 半導体・電子部品業界の市場は、データセンター向けサーバー市場は高水準で推移しましたが、パソコン・スマートフォン市場は前年対比でマイナス成長となり、当社の電子事業を取り巻く環境は、依然として楽観視できない状況が続いております。
 自動車業界の排気系部品市場は、自動車販売台数が世界的に低調に推移したことに加えて、欧州乗用車市場においてディーゼル乗用車販売比率が低下するなど、厳しい状況にあります。
 このような情勢のもと、当社におきましては、安定的・永続的に事業を成長させるため、昨年4月に新たな5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」を始動しました。新中期経営計画におきましては、人財育成を基盤に、既存事業の競争力を強化するとともに、中長期の成長を支える新規事業の拡大に取り組んでおります。新規事業については、2017年度に設立した4つの開発センターにおいて、新製品の開発及び早期上市に向けた取り組みを進めております。
 これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,911億25百万円と前連結会計年度に比べ92億78百万円(3.1%)減少しました。営業利益は101億37百万円と前連結会計年度に比べ65億64百万円(39.3%)減少しました。経常利益は126億円と前連結会計年度に比べ50億2百万円(28.4%)減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益に関しましては33億6百万円と前連結会計年度に比べ82億77百万円(71.5%)減少しました。

電子事業


主な製品用途

▪パッケージ基板
(パソコン・サーバー向け、携帯端末向け、情報家電向け)
▪プリント配線板
(携帯電子機器向け)

 パソコン用パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン市場全体は引き続き前年対比でマイナス成長が継続しておりますが、サーバー向けを中心に新分野及び新規顧客向けの販売が伸びたことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 スマートフォン・タブレット用小型・薄型基板(CSP)事業におきましては、ファンアウトウエハーレベルパッケージ(FO-WLP)の上市による影響が継続したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、スマートフォン市場はマイナス成長となりましたが、サーバー用基板の販売が堅調に推移したことで、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 以上の結果、電子事業の売上高は1,159億82百万円となり、前連結会計年度に比べ0.4%の増収となりました。同事業の営業利益は、25億33百万円と前連結会計年度に比べ、196.9%増加しました。

セラミック事業

主な製品用途

▪ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)
▪触媒担体保持・シール材(AFP)
▪NOx浄化用触媒担体(SCR)
▪特殊炭素製品(FGM)
(半導体製造装置向け、新エネルギー関連向け)
▪高温断熱ウール
▪ファインセラミックス製品

 ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、欧州を中心としたディーゼル乗用車比率低下による影響を受け、売上高は前年同期に比べ減少しました。今後、規制の強化に伴い拡大が見込まれる新興国の大型車向けDPF市場におけるシェア拡大と新規顧客への拡販に取り組んでまいります。
 触媒担体保持・シール材(AFP)は、新興国での拡販活動に取り組んだ結果、売上高は前年同期に比べ増加しました。
 NOx浄化用触媒担体(SCR)は、自動車向け製品が堅調に推移したことにより売上高は増加しました。
 特殊炭素製品(FGM)は、半導体市場が堅調に成長したことに加え、新規分野での拡販を進めた結果、売上高は前年同期に比べて増加しました。
 以上により、セラミック事業の売上高は1,024億88百万円となり、前連結会計年度に比べ9.6%減少しました。同事業の営業利益は、DPFの売上減少の影響等もあり29億66百万円となり、前連結会計年度に比べ71.8%減少しました。

建設・その他事業

主な事業内容

▪各種設備の設計・施工
▪メラミン化粧板・住宅設備機器
▪法面工事部門
▪造園工事部門
▪合成樹脂加工部門
▪石油製品販売部門

 建設事業におきましては、電設部門及び環境分析部門の受注は堅調に推移しましたが、大型工事が減少したことなどにより、同事業の売上高は60億3百万円となり、前連結会計年度に比べ1.2%減少しました。同事業の営業利益は、13億52百万円となり、前連結会計年度に比べ1.6%増加しました。
 建材部門におきましては、化粧板関連販売部門は、トイレブース向けメラミン化粧板及び不燃化粧板の拡販に努めた結果、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
 その他部門におきましては、石油製品販売部門は、販売数量の減少を販売単価の上昇で補い、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
 以上により、建設及びその他事業を含めた売上高は726億54百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。同事業の営業利益は46億77百万円となり、前連結会計年度に比べ13.7%減少しました。

2019/06/14 16:00:00 +0900
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