世界最先端の知見を得て、ひと回り大きな技術者に

S.Tさんプロフィール

入社年:2021年
部 署:要素技術グループ

大学では農学部に在籍し、木材の非破壊検査などを研究。そこで得た知見を活かす勤務先として大阪府の建材メーカーに就職し、材料開発や技術開発に従事する。その後2021年にイビデンに転職。現在はICパッケージ基板のレジスト工程の要素技術開発を担当している。

攻めの企業で技術者としてのステップアップを目指す

イビデンで働く前は、大阪府の建材メーカーに勤めていました。そこで住宅建材に使われる塗料や接着剤などの開発に10年近く携わりましたが、どこか技術者として伸び悩んでいる自分に気づいたのです。ちょうどそのタイミングで子どもが生まれ、子育ての面でも実家がある岐阜県に移り住みたいと夫婦で話していた矢先でもありました。年齢的にもあまりのんびり構えていられない状況でしたから、転職を検討しはじめたわけです。

転職をするなら新しい分野、伸びている業界で挑戦したいと考え、いろいろ探してみたところ、岐阜県にイビデンというメーカーがあることを知りました。世界的に伸長する半導体業界において、積極的に投資を行い今までになかったものを創り出していく姿勢にも興味を惹かれました。ここなら技術者として成長できるのではないかと考え、夫婦で話し合った上で転職を決意。私個人だけでなく、家族にとってもターニングポイントになりました。

多層・高密度のICパッケージ基板のレジスト形成

転職後は、ICパッケージ基板にレジスト加工を施す工程開発に携わっています。半導体の進化は著しく、一方でICチップの微細化が困難なため、ICチップを受けるICパッケージ基板の重要性が高まっています。

数年先に必要となる高い密度の回路を形づくるため、多層基板のレジスト膜を積層形成する工程を開発するのが私の役割ですが、その配線の細さはわずか数ミクロン。しかもこの先、さらに細くなっていくことが開発ロードマップで示されています。従来の太さであれば問題ない工法も、細くなれば異常が発生してしまう。そこで私はこれまでにない工法を試しながら、不良率の低減や生産性向上の実現を目指して日々トライアンドエラーを繰り返しています。

前職とはまったく違う仕事ですから、専門知識などはゼロから学ぶ必要がありました。その点では苦労しましたが、PDCAを回しながら試験・解析・評価を繰り返すという大きな枠組みは変わらないので、前職の経験を活かせている部分も多くあります。

多くの技術者とともに新しい工程を作り込んでいく

例えばレジスト膜の形成時に、小さなゴミや空気が入ると不良になってしまいます。そこで空気を抜く工程を追加しようという話になるのですが、そうすると生産性の低下や後工程に悪い影響を及ぼすことがあります。そんな場合でも、前後の工程を担当する技術者とフィードバックしあいながら、落とし所を探すのが要素技術開発に求められる力のひとつです。

他にも加工装置の立上げを担う技術者や、その装置を使う製造の皆さん、さらには生産管理の方々など、多くの人たちと関わりながら最適な生産ラインを構築していきます。転職して「こんなに大勢の技術者が関わるのか」と驚いたほどです。

新工法の開発に取り組み、今までできなかったことができるようになったり、目標が達成できたりした時はやっぱり面白いですね。前職より開発サイクルが早く、毎週常に新しいことに取り組んでいますので、そうした面白みを感じる機会が多くあることも特徴的だと思います。

最前線に立ち続け、いつか皆から頼られる存在になりたい

イビデンに転職して驚いたことのひとつが、統計的品質管理が徹底されているということ、各工程がきちんと目標を達成すれば、全体として良品がつくれるという管理手法を学びましたし、世界トップクラスの半導体メーカーが求める厳しいグローバル基準をクリアするワンランク上のものづくりをしている実感があります。

ただ、転職してまだ1年と少しですから、今は専門書を読んだり様々なイベントに参加したりするなどして、業務の傍ら自らの知見を広げようと必死です。世界的に技術革新が求められる分野ですから、調べるほど「すごい、この発想はなかった」と目からウロコが落ちる新しいテクノロジーがたくさんあります。

経験したことのない現象に出会うことは日常で、非常に奥が深い仕事ですが、同じ部署に「レジストならこの人に聞けばなんでもわかる」というこの道のプロと呼べる技術者がいます。自分もいずれそういう存在になれるよう、技術とスキル磨いていきたいですね。